彩元堂看板

 日記 (2015年7月)

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2015年7月21日


自然環境系の新作 「深林の底に」


深林の底に

深林の底に

ヤンバルの森の林床で見つけた朽木の世界をそのままトンボ玉にしました。
直径約3cmの(私の作品にしては)ちょっと大きめの玉です。







トビムシと変形菌

朽木の隙間に住んでいるトビムシの仲間。
このトビムシはまだ柔らかい変形菌の中身を吸って暮らしているようです。
黄色い変形菌(変形体と未熟な子実体)はイタモジホコリ。






ツヤエリホコリ トビムシ

左: ツヤエリホコリの変形体と子実体。
子実体は白(未熟な状態)→黒(成熟したもの)→灰色(胞子が抜けた状態)の各段階。

右: 変形体から子実体に変化中のツヤエリホコリ(球体)と、
それを食べようとするトビムシの仲間。
右上にはイタモジホコリの子実体も見えます。



トビムシsp.

トビムシ拡大。小さいけどそれでも実物の倍以上の大きさ(汗)。
ヤンバルの森でよく見かける変形菌食のトビムシがモデルです。
実はこのモデルになっているヤンバルのトビムシ、種が同定できてません。
おそらくオオヤマトビムシ属(Ceratrimeria)じゃないかと思ってますが、
トビムシの分類文献(長谷川・田中,2013)とかを見てもそれらしいのが見当たらず...。

体色はちょうどいい色ガラスが見つからなくてちょっと妥協してますが、
体の斑紋パターンや眼の配置はできるだけ実物どおりに再現したつもり。


変形菌(粘菌)

木製標本箱にはツヤツヤのエナメル塗料で変形体を描いてみました。
玉の中の世界がこっち側まで溢れ出てきたようなイメージで良い感じ。


 一見マニアックな路線を狙った作品と思われるかもしれませんが、この玉の中にあるような変形菌やトビムシの暮らす世界って実際はどこにでもあるんです。それこそ、お庭の枯木でも覗いてみたら見られるようなとても身近な世界。そんな普通にいるのになかなか目に入らない存在だったり、いつのまにか消えてしまいそうな儚い小さな環境に魅力を感じて、ガラスの中に永久に記録しておこうというのが今の私の創作の動機です。どれだけ見ても不思議で疑問だらけの変形菌たちと名前も分らないトビムシさん、いつも森で見かけるこの世界は「もう、どうしても作りたいっ!」と思った題材でした。

 この「深林の底に」のトビムシは私が作った最初の節足動物になります。本当はヘビトンボかダンゴムシあたりを最初に作ろうと思ってたんですが、拡大撮影したトビムシの可愛さにほだされて一気に作っちゃいました。同じく初挑戦の変形菌にも手こずりましたが、実は一番表現に悩まされたのは「朽木」です。おかげで本品を制作してる時はえらい複雑な立体パズルをやってるみたいな感覚で....こんな楽しみは作り手だけの特権ですね。

 この新作「深林の底に」特製標本箱付き(第一号作品)は今月のグラス2Hオークションに出品しています。入札日は明日(2015年7月22日)、終了時間は22:40です(自動延長あり)。今回もどうぞよろしくお願いいたします!




*


 7月18日から大阪府立弥生文化博物館で開催している「とんぼ玉100人展」。先日、その準備にちょこっとお邪魔してきました。




とんぼ玉100人展ポスター

今回のポスター、私の作品がどどーんと飾られておりまして...
もう、本当~にありがたい限りでございます。m(_ _)m
とっても涼しげなデザインですね。
(チラシやDMとは少しだけデザインが異なってます)







会場の様子(まだ展示準備中の)。
この日は100人展スタッフさんにグラスタウン町長さん、
ガラス作家の礒野昭子さんや生田信子さんと一緒に展示の準備をしました。
私はただ自分の作品を飾っただけでほとんどお手伝いできませんでしたが...汗。





とんぼ玉100人展

私が100人展に出展するのはこれが初めてで、
今回は代表的な海系作品10点を展示しています。
過去の個展などでおなじみの作品ばかりですが、
展示台は全部この100人展用に作ったものです。
あ、「潮のまにまに」(試作品)は初展示です~。
ガラス越しなので細部をじっくり見ていただくことはできませんが、
作品全体の雰囲気は分かっていただけると思います。

 この「とんぼ玉100人展」は9月23日までやってます(休館日がありますのでご注意ください)。たくさんの作り手の個性的な作品が見られてとても楽しい展示になってますので、お近くの方はぜひご覧くださいませ~。

 大阪に行く前に、11月上旬に予定している個展の下準備で名古屋にも寄ってきました。ようやく今年の個展の準備が動き出した感じ(遅い...)。この名古屋個展の詳細はまた後ほどお知らせします。

*

 旅行ついでに礒野さんたちと一緒に兵庫県のフィールドでたっぷり遊んできましたっ。内地の両生類ってなかなか見る機会がないんで、今回色々な種に会えて超楽しかったです。



モリアオガエル

昼のモリアオガエル。
眠そうな目とかもったり感とか、妙にカワイイ。







ニホンアマガエル

こっちは昼のニホンアマガエル。
日中のカエルってほとんど撮ってないけど、なかなかイイですねぇ。







カジカガエル

夜、オオサンショウウオに会うために川をじゃぶじゃぶ進むと
そこらじゅうにカジカガエルさんが。綺麗な声に癒されます。
やっぱりリュウキュウカジカガエルとは雰囲気が全然違いますね。






トノサマガエル

トノサマガエルも。
トノサマガエル属(Pelophylax)って沖縄に全くいないんで、
久々に見るとなんだか新鮮な感じです。






ニホンヒキガエル

ぶふぉっ!ニホンヒキガエルにも会えました。








オオサンショウウオ

いましたっ、オオサンショウウオ!!!
いきなり足元に現れて、それはそれはもう大興奮です。
さすがは世界最大の両生類、妖怪なみのオーラがっ。






オオサンショウウオ

想像以上に鮮やかな明るい体色ですんごい綺麗。
ここのオオサンショウウオはしっかり国産の在来種だそうです(安心)。

簡易撮影機材だったんで写真はイマイチだったけど会えただけで大満足です~。






2015年7月9日

 




トビムシちゃんカワイイ。
ここ一ヶ月、頭の中はトビムシと変形菌のことばかり....。


 ただ今、台風9号通過中ですっ(汗)。





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