彩元堂看板

 日記  (2017年3月)

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2017年3月23日



「骨の壺」

「骨壺」  増永元
油彩 (20号)   2000年頃に制作
  個人蔵

 先日、私の陶芸の師匠だった友人の新居に遊びに行きまして、十数年ぶりに自分が描いたこの油彩画と対面しました。これ、私が初めて人に販売した作品なんですっ(アートとしての価格って意味で)。この元になる小さな絵を1994年に描いていて、それを見て気に入ってくれた友人からの依頼でより大きなキャンバスに描いたのがこの作品。絵の具も普段と違ってしっかりお高いのを使わせていただき(やっぱり発色が良いですー)、かなり本気で気合を入れて描いた記憶があります。

 この絵だけ写真を一枚も撮ってなかったんですが、今回ようやく撮れました。私のサイトの絵画ギャラリーに載せてる黒バック系の絵とはやや傾向が違うけど、「蟲壺」・「キノコ培養器」など"器+生物多様性"がテーマの絵と同系列の作品です。

 ちなみにこの「骨壷」について簡単に説明すると、"脊椎動物にとって一番長い時間この世に存在する部位は骨。その骨に主眼を置くと、肉は骨を世に出すまでの間しっかりと包み込んでいる器みたいなものですよ"っていう観点で描いてみたものです。はい、わけわかんないです(笑)。




「骨の壺」

細部のアップ。
今だったらもっと描き込んじゃいそう...笑


 

 それでは、今月のグラス2Hオークションの出品作品を紹介します〜。



「夏の礁池」2017

「夏の礁池」 2017年制作
沖縄沿岸の礁池を再現した自然環境系トンボ玉作品。
この作品の詳しい説明はトンボ玉ギャラリーをご覧くださいませ。

2010年に発表してから繰り返し制作しているデザインで、
私の自然環境系の中でもフラッグシップ的な作品です。
ただ、非常に手間のかかる玉なので年に数個しか作れてません。
今回制作したものは細部をいくつかリニューアルしています。


「夏の礁池」ルリスズメダイ

サンゴ群落面。ルリスズメダイが新しいものになりました。
今回は可愛さ重視のデフォルメを採用しています。
体長7mmくらいの魚なので肉眼では細部まで見えないと思いますが、
眼がカワイイの。





「夏の礁池」ハブクラゲ

海草藻場面。
ハブクラゲも毎回微妙に造りが異なってます。
この作品の中でハブクラゲは"夏を表す季語"的な生き物。






「夏の礁池」海草藻場面

順光で見るとハブクラゲはよく見えませんが.....
海の中でもよく見えない生き物なので、これでいいんです。
見えにくいのもこのクラゲの特徴(笑)。
と言っても立体のクラゲが浮いているので実物は写真よりしっかり見えますよ〜。





「夏の礁池」

細部のアップと横からの全体像。
今回、クモヒトデの腕のトゲトゲ表現をかなりがんばりました(汗)。
この作品のクモヒトデ、以前はクロクモヒトデのつもりだったんですが、
海草藻場でより頻繁に見かけるウデフリクモヒトデに種を変更。
(どっちも形はよく似てますからねぇ....)




「夏の礁池」

今回の玉はオークションのための特別仕様で、暗いところで光ります。
(蓄光ガラスなので事前に強い光でしっかり蓄光させる必要があります)
ただ、このたっぷり入れた蓄光ガラスの粉が発泡てしまって
地面が微細な泡で覆われるという想定外の表現になっちゃいました。
キラキラして綺麗だし面白いのでこれはこれでイイ感じだと思います。




「夏の礁池」

サイズ:H28mm x W28mm


 今月のグラス2Hオークションの入札日は3月24日(金)です。このトンボ玉作品「夏の礁池」の入札終了時刻は21:45となっております(自動延長あり)。
 どうぞよろしくお願いいたしますっ。 

グラス2Hオークション






ついでにルリスズメダイの表現の変遷も紹介〜。

歴代ルリスズメダイ


上:初代、中:二代目、下:三代目(今回のもの)
 

 これまで作ったルリスズメダイのパーツを並べてみました。初代はこれが当時の私の限界。二代目のものはより実物の色味に近づけたつもりですが、全体的に色の濃淡が弱いために肉眼では殆ど単色に見えてました(拡大してもなんとか鱗が見えるかなーっていう控えめな表現だけど、一応細部まで作ってます)。今回の三代目では肉眼で見た時に微細な表現が確認できるように、より濃淡差をつけてデフォルメしています(眼も大きめにして強調)。
 ルリスズメダイの体の青色は虹色素胞によって変化する構造色。これをガラスでそれらしく表現するのはとても難しくて.....(汗)。三代目では光が強く当たる背面を明るい青、光が弱い側面を暗い青にして反射による体色の変化を表現したつもり....です。
 ちなみに左右の胸ビレみたいに見えるのは実は腹ビレのつもり。この作品に登場するルリスズメダイは2匹ともオスで、オスは尾ビレや腹ビレが青いんですが、胸ビレは透明でよく見えないので省略してます。





2017年3月12日

 前回のグラス2Hオークションでは私の作品を大変ありがたい値で落札していただけて、もうホントに感激しました! 参加してくださった皆さま、見てくださった皆さま、どうもありがとうございましたっ。
 m(_ _)m


魚石sp.Fスケッチ

 魚石 sp.F の点描スケッチ
落札者さまには感謝の意を込めてこの原画を落札作品と一緒に送らせていただきました♪

 
 

 3月16日にグラスタウンさんのCo展サイトにて磯野昭子さん、内田敏樹さん、私のトンボ玉作品の抽選販売が実施されます。販売されるのは昨年八丈島で開催した「境界」展覧会に出品した作品の抽選販売で残った玉たち。八丈島での抽選販売は参加資格が "展覧会場までお越しいただいて図録を購入された方" に限定されたものでしたが、今回は誰でもご参加いただけるそうですっ。

 展覧会の抽選販売で残った作品と聞くと「買い手がつかなかった残り物か〜」と思われるかもしれませんが、八丈島での抽選は各作家50点あるうちの5点までしか希望作品を選ぶことができない方式でしかもレア玉もたくさん並んだ展覧会でしたので、その中でたまたま希望作品に選ばれなかった作品になります。ちょっと不憫な玉たち...(笑)。

 今回販売される私の作品はクラゲの玉5点です〜。



抽選販売


 アカクラゲの作品が3つもあります。アカクラゲ、普段の抽選販売ではとっても人気高いんですよ〜。青い背景の「アカクラゲの海(青)」は境界用に作った特別版です。そして制作が難しすぎてなかなか作らない「ムラサキクラゲの海」も。
 ちょっと地味なんですが「ベニクラゲの海」はこれが第一号作品ですっ。後にベニクラゲのパーツの作り方を変えたらイメージがだいぶ変わりましたので(←水球系の「紅海月」に入れたやつ)、この玉に入ってるプロトタイプのベニクラゲはもうこれっきりの一点モノになります。

 今回の抽選販売では図録をお持ちの方は当選確率が倍になるとか....。詳細はCo展サイトの方でご確認くださいませ。 

Co展「境界おかわり」
Co展 「境界おかわり」

どうぞよろしくお願いいたします〜。





以下、最近のヤンバル写真です〜。



オキナワイシカワガエル

苔の上でよく見かけるオキナワイシカワガエルのチビっ子。 (2月27日撮影)
いつ見てもカワイイ。
今、夜の沢ではイシカワさん(成体)の声があちこちに響いててイイ雰囲気です。






ハナサキガエル

オスのハナサキガエルたち。繁殖場に集まって鳴いてました。
この日(2月27日)は一斉産卵が始まりそうな盛り上がりだったので
チラッとだけ様子を見てすぐに撤退。 






ハナサキガエル

後日(3月2日)、もうすっかり産んでる頃だろうと思って深夜に様子を見に行ったら、
むしろ産卵が始まったばかりのような状況? 
今年はちょっとダラダラ産卵気味かも....。

風が強い夜で活動中の動物をほとんど見ないコンディションだったのに、
繁殖場だけはピンポイントでハナサキガエル祭り開催中。
(他にオキナワアオガエルもこんな夜でも元気に鳴いてました)




ハナサキガエルのペア

抱接ペアも陸上や水中にそこそこいました。
滝壺の中はライトで照らすと影響ありそうだったので殆どチェックしてませんが、
すっかりお腹が痩せた単独メスがあちこちに休んでいたので
今シーズンもしっかり産卵できたみたいです。



ハナサキガエルのペア

上の写真の拡大。
レフ板の選択をミスってしまい激しくテカっちゃってますが(汗)
オスとメスの皮膚の質感の違いに注目です。
大抵メスの方が眼の上とかの皮膚がよりザラザラしてる感じ。
一方オスは妙にツルッとした質感になってる個体をよく見ます(繁殖中だけ?)。
個体差もかなりあって明確な性差じゃないと思いますが、なんとなくそんな印象。
抱接のための適応と考えたら分かりやすいけど....どうなんでしょう。

そしてメスの両眼の間にオスの鼻先がカチッとハマって一体化してるところが
非常によくできてるなぁ〜とお気に入りのポイントです。

ちなみにオキナワアオガエルでは雌雄で鼻先の形状が顕著に違ってて、
彼らの抱接も一体感が素晴らしいんです!(マニアックすぎますね...笑)



ヒメハブ

もちろん、ハナサキさんの繁殖場付近はヒメハブもいっぱいです。
暗い赤ライトで歩いてるとよく見えなくってちょっと危ないんですが、
自分の周りにヒメハブたちが多いほどテンションがアガっちゃいます〜。
(私、そもそもヘビが大好きで沖縄に来たんで...)
彼らにとっても大切な日なので邪魔しないように気をつけて
この晩も早めに切り上げて撤退。





リュウキュウヤマガメ

足元にリュウキュウヤマガメがいましたっ。
ここの沢も20年くらい前は沢山いたのに、
最近はめっきり姿を見なくなってまして...。






リュウキュウヤマガメ

と思ったらいませんでした(涙)。
空っぽだなんて.......寂しい。


毎年同じような内容を紹介してますけど、
この時期の夜のヤンバルの森はホント楽しいですっ。
今シーズンもこれで満足〜。
 


  * カエルたちの一斉産卵を撮影する際の諸注意については 先月の日記の一番下 をご覧ください。




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